やっぱりやめたい!不動産購入後にクーリングオフを利用できる条件まとめ

「クーリングオフ」という言葉、どこかで聞いたことはあるという方は多いと思います。

しかし、実際に使ったことがあるという方はあまり多くないのではないでしょうか?

化粧品や学習塾の教材など、売り方によっては「押し売り」が横行しそうな業界で使われていそうなイメージがあるかもしれませんが、実は様々な購買のシーンで利用することができるシステムです。

人生最大の買い物と言われる不動産の購入においてもそれは例外ではありません。

(ただし、後述しますが一般的なクーリングオフとは少々異なることも多いので注意してください。

)不動産においても一度購買の意志を示しても、条件を満たしていれば後からクーリングオフができる場合があります。

今回は、クーリングオフについて改めて、その趣旨や利用できる条件を確認します。

その上で、実際に不動産の業界においての一般的なクーリングオフとの差異についても解説します。

不動産は規模が大きく、権利関係も複雑になりがちな取引であるため、一般的なクーリングオフとは異なる事項が多々出てきますので、注意が必要です。

実際にそうそう利用する制度でもありませんが、いざという時に可能だということを認識しておくと、購入の際の不安も解消されるのではないでしょうか?ぜひ参考にしてみてください。

クーリングオフとは

クーリングオフは特定商取引法によって定めた制度です。

(クーリングオフという単語自体が記載されているわけではありません。

)記載された業者との契約について、一定期間であれば、消費者の側から一方的に契約を解除できます。

特定商取引法に記載されているのは、訪問販売や、電話勧誘販売、キャッチセールス、それにネットワークビジネスなど、売り手が積極的に働きかけてくるようなものが主になります。

なぜクーリングオフがあるのか

主旨は消費者の保護です。

消費者は購買した商品について、それほど詳しくない中で、その道のプロである業者と契約をすることになります。

中には業者の説明を理解できずに、勢いで契約してしまうというケースもあるでしょう。

もっと悪いものでいうと心無い業者の側が重要な説明を意図的に行わなかったり、その場で契約するようにせかしたり、あえて判断する時間を与えずに契約を行わせることも考えられます。

そういった状況から消費者の資産を守るために、クーリングオフの制度が存在します。

先ほど、特定商取引法の対象になるのが、売り手側が積極的に働きかけてくる業態が主、という話が出ました。

その理由もこの趣旨に沿っています。

たとえばお店に自ら出向いて商品を購入した場合や、インターネットショッピングなどで購入した場合、消費者はその購買を冷静に判断できた状況であったと考えられます(実際はどうであれ)。

クーリングオフは、「冷静な判断ができなかった可能性のある」契約を保護対象とするので、自分で冷静に判断できる買い物についてはクーリングオフできないということですね。

クーリングオフを使うと

クーリングオフの権利が正当に行使されると、契約が「無効」になります。

無効というのは、その契約を最初からなかったことにする、ということです。

買い手側は、購入したものを全て返却する義務が生じ、売り手側は日割り計算ではなく、買い手から受け取ったお金全額を返金しなければなりません。

「途中で解約する」のではなく「最初からなかったことにする」というのがポイントです。

豆知識 業者間の取引について

クーリングオフが適用できるのは特定商取引法に記載されている業種の取引において、業者と消費者間で取引が行われた場合のみです。

知識が豊富にある業者と、知識がない消費者という不平等な力関係のもとで、消費者が誤った判断を行わないために設けられている仕組みなので、当然と言えば当然ですね。

従って、クーリングオフが適用できるような業種であっても、業者間で行われた取引についてはクーリングオフの保護の対象外です。

お互いにプロ同士の取引のなかですから、「やっぱりやめた」はめったなことでは通じません。

また、買い手が個人であっても仕事のために購入したようなものであればクーリングオフの対象にはできません。

豆知識 クーリングオフ禁止の特約

クーリングオフは「原則として」条件を満たしていれば行えます。

ところで、世の中の契約の中には、原則として決まっている事項に対して、その取引を行うもの同士で例外を定める「特約」というものをつけることができます。

それでは、「クーリングオフ禁止」という特約があれば、クーリングオフはできなくなるのでしょうか?

答えは、そうではなく、特約が無効になります。

クーリングオフの趣旨は「弱者」である消費者を守ることです。

特約は立場の弱い方をさらに不利にするような取り決めを行うことはできません。

クーリングオフを適用する条件が満たされていれば、特約があったとしてもクーリングオフは実行できます。

クーリングオフが利用できる条件について

クーリングオフは、消費者の立場を守るために、条件を満たした契約を「一方的に」「なかったことにできる」という非常に強い効力を持つ制度です。

逆に、消費者の側が好き勝手に行使していては、まっとうに営業している業者も立ち行かなくなってしまいます。

そこで、クーリングオフを利用できる条件については下記のように条件が定められています。

クーリングオフを行うための条件について

クーリングオフの手続きについては以下のような条件が必要です。

①契約から8日(ものによっては20日)以内に手続きを行う

②書面にて契約の解除を行う旨を相手方に通知する

以上の、非常に簡単な手続きでクーリングオフを行うことができます。

ポイントとしては8日、もしくは20日の期日内に「相手方に到着」ではなく、書面を発送していれば有効であるという点です。

郵送の事故による配送の遅延などを心配する必要はありません。

なお、商品は未使用でなくてもクーリングオフを行うことができますが、食品、化粧品などの消耗品の場合は使ってしまった分についてはクーリングオフができず、未使用分のみが対象になります。

豆知識 クーリングオフでなくても契約を無効にできるケース

クーリングオフは、業者側になんの落ち度がなくても、消費者側で一方的に契約を無効にできるシステムのため、利用には諸条件がありました。

逆に考えると業者側に落ち度があれば、クーリングオフの対象外であっても、消費者は契約を解除することができます。

具体的には、民法に定められた「詐欺」または「脅迫」によって契約が行われた場合です。

詳しい説明は割愛しますが、業者が無理やり契約を迫ったり、騙すような形で契約を行った場合は、業者に落ち度があるので、消費者が契約を取り消すことができる条件にクーリングオフを含まなくてもよいわけです。

不動産の購入におけるクーリングオフ

一般的なクーリングオフの概要についてざっくりと概観してみました。

それでは不動産のクーリングについて改めてみていきます。

不動産と一般のクーリングオフは異なる

先ほど、クーリングオフの対象となるのは「特定商取引法に記載されている業種」であるという説明を行いました。

このような書き方をしている以上お察しいただいているとは思いますが、販売を始めとする不動産周辺の事業は「特定商取引法」には該当しません。

従って、本来であればクーリングオフを行う必要はないのですが、不動産は不動産で「あえて」クーリングオフのルールを設けています。

なぜ不動産はわざわざクーリングオフが可能なのか

不動産を売る側の立場からすればクーリングオフというのは一方的に不利な制度ですから、ないにこしたことはありません。

とはいえ、買い手の立場からすると不動産は一世一代となるかもしれない大きな買い物。

勢いや一時の感情で購入の申し込みをしてしまい、一生後悔するのは嫌ですよね。

そこで、改めて消費者保護の原則に則って、独自にクーリングオフができるようになっています。

不動産をクーリングオフできる条件について

不動産の購入においてクーリングオフを行うには以下の条件が必要になります。

①契約より8日以内に通知を行うこと
②書面にてクーリングオフの意非表示を行うこと
③契約場所が事務所、もしくは買い手が希望しての自宅ではないこと
④売り手が個人ではなく宅建業者であること
⑤買い手、売り手いずれかが契約の履行に着手していないこと

①、②は一般的なクーリングオフと同じですね。

③、④についても、クーリングオフのそもそもの趣旨を考えるとそれほど難しくはありません。

特定商取引法のクーリングオフは「冷静に判断できなかった可能性のある消費者」を保護するために設けられました。

不動産の契約において「冷静な判断」の基準が業者の事務所で契約する、もしくは業者を自宅に呼んで契約することと定められています。

そこまでしているのであれば、しっかり考えた上で契約したと判断されるということですね。

カフェで契約した場合や、モデルルームで契約した場合などは対象となる可能性があります。

④についても、業者対個人という力関係の中でのみクーリングオフが制度として機能することを考えると、個人間の取引ではクーリングオフが使えないことは想像に難くないでしょう。

重要なのは⑤です。

いずれかが契約の履行に着手してしまえば、たとえ8日以内であったとしてもクーリングオフは無効になります。

契約の履行に着手というのはたとえば、物件の引き渡しを行った場合や、料金を(手付金を除き)一部でも支払った場合です。

こうなると、相手方は取引が成立するものと判断することが十分にできますから、それをクーリングオフで取り消すのは相手方の利益を損なうと判断されてしまいます。

クーリングオフの対象外になると契約の取りやめはできない?

クーリングオフは期限を過ぎてしまったり、特定の場所で契約を行ったりした時点で無効になる契約でした。

それでは、クーリングオフの対象外となった場合、もう契約を取り消すことはできないのでしょうか?

答えは、可能です。

買い手は手付金の放棄で、売り手は手付金の倍額の償還(手付を返すのに加えて同額を支払う)ことで、契約を取り消すことができます。

何か重要な事実誤認があった、相手に落ち度があったといった要件は必要とありません。

手付金の金額分を相手に「違約金」として払えば、それで買い手・売り手どちらの側からも契約を取りやめにできる決まりになっています。

ただし、これも期限は相手方が契約の履行に着手するまでで、それ以降は契約の取り消しはできなくなります。

まとめ

クーリングオフという仕組みは、消費者の利益を保護するために、「冷静に判断できなかった」可能性がある取引について、特定の条件下で契約を取り消すことができる仕組みです。

販売した業者の側からすると、何の落ち度もなくても一方的に契約を取り消されてしまうので、不利な制度です。

訪問販売など、特定商取引法に記載されている業種でのみ行えるのが原則になっています。

ただし、一生に一度かもしれない買い物の不動産においても特定商取引法の範囲下でなくても、クーリングオフの制度が設けられています。

条件は一般のクーリングオフに比べ、「契約した場所」「契約する相手」「契約後のお互いの動き」などによって制約を受けておりますので、よく確認しておきましょう。

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