夫婦や兄弟で共同してマンションを持っていることがあります。
人間関係が良好なうちは問題ありません。
ただ、ひとたび離婚や相続が発生するとこうした共有のマンションは利用や処分に大きな問題を抱えてしまうものです。
ここでは、共有名義についての解説とその注意点、税金や確定申告についてわかりやすくお伝えします。
また、これから不動産の売却を考えている人に一つ忠告しておきたいことがあります。
それは、「1社の不動産会社が提示した売却査定価格のみを参考にして売却活動をスタートすることは絶対にしてはいけない」ということです。
不動産の売却査定額の算出方法はそれぞれの会社によりけりです。
同じ不動産であっても、査定額に100万~500万円程度開きが出てくることもよくあります。
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それではここから、共有名義のマンション売却について詳しく解説をしていきましょう。
共有名義のマンションに関して知っておくべき5つの基礎知識
まずは共有の基礎知識についてまとめました。
- そもそも共有とは?
- 持分して何?
- 行為によっては単独でも可能
- 処分には全員の同意が必要
- 持分だけの売却も可能だが
それぞれ見ていきます。
1.そもそも共有とは?
そもそも共有とはどんな状態でしょうか。共有とは、不動産を複数の人で所有している状態です。
共同して所有する、これを共有といいます。よくあるパターンとしては、マンションを夫婦で所有する形態です。
旦那さんが半分、奥さんが半分の権利を持っている、といったパターンになります。
この不動産を共有する状態は特殊な状態ではありません。不動産売買の現場ではよく出会う所有形態なのです。
2.持分とは?
共有は2人以上で不動産を持っている状態なのでそれぞれがその不動産に対して権利があるのです。
その権利の割合を持分、または共有持分といいます。
先ほどの旦那さんが半分、奥さんが半分持っている状態だと、それぞれの持分は2分の1ずつ持っているのです。
この持分割合は50:50の場合も1:99の場合もあります。共有者が多ければもっと複雑です。
3.行為によっては単独でも可能
共有している不動産は単独所有の不動産と比べて多くの制約があります。
単独所有ならばその不動産をどのようにしようと自由です。
不動産を貸したり、処分したりするのも所有者の意思でできます。
これに対して共有の不動産はやや異なるのです。共有の不動産も管理や修繕などは共有者のいずれかの判断でできます。
ですが、不動産を誰かに貸す場合には共有不動産の持分の過半数が同意しないと実行できません。
4.処分には全員の同意が必要
共有不動産の取り扱いで最もハードルが高いのが処分するときです。
共有不動産を処分、つまり売却する場合には共有者全員の同意が必要になります。
財産の処分とは換金されるとはいえ、その不動産がなくなってしまうことです。
これは関係者にとって重大なことであるため所有者全員の同意が必要になります。
全員が処分に同意していれば話はスムーズに進むものの、合意できないと売却自体が困難となるのです。
5.持分だけの売却も可能だが
法律上は、共有持分のみの売却も可能です。
ただし、一部の例外を除いて持分のみの売買は成立しません。
一部の例外とは、収益性のある不動産や家族間での売買などです。
第三者が持分を取得すると、その第三者と共有することになります。ただでさえ制約がかかりやすい共有不動産です。
見ず知らずの人と共有となると管理や処分に支障をきたす可能性があります。
こうした理由から持分だけの売買は成立しにくいものなのです。
共有名義のマンションを売却する際の流れ
共有名義のマンションといえども、基本的な売却の流れは通常と同じです。
ただ、所有者が複数いるため、委任状が必要であること、証明書類が人数分必要なことが異なります。
売却の流れは同じ
価格査定、媒介の依頼、販売活動等が主な売却の流れで、これは単独名義のマンションと同じです。
世の中には数多くの共有名義のマンションがありますが、共有名義だから売れないといった話は見当たりません。
このように共有名義のマンションだからといって身構える必要はないのです。
媒介契約と委任状
売却の流れに違いがないからといってすべてが単独名義のマンションと同じではありません。
その一つが媒介契約です。
不動産業者によって違いますが、共有者全員と媒介契約を締結する場合があります。
もう一つは共有者のひとりを代表者として、その代表者に売買を委任する方法です。
媒介契約は不動産業者にとって報酬を得るための重要な契約になります。
こうした契約はしっかりと締結してくるのです。
売却時は全員の記名押印と印鑑証明
晴れて買主が見つかると、売買契約の締結と引き渡しになります。
売買契約書には売主全員の署名と実印での押印が必要です。
契約や引渡しの場に立ち会う必要はありませんが、代表者への売買行為の委任は必要になります。
また、印鑑証明も共有者の分だけ取得しなければいけません。
所有権移転登記の書類にも共有者全員の記名や押印が必要です。
全員が立ち会えない場合は事前に書類への記名押印をしておきましょう。
共有名義のマンションを売却する際の6つの注意点
共有名義のマンションを離婚で売却する場合と相続で売却する場合の注意点をそれぞれ3点ずつ計6点にまとめました。
いずれの場合も共有者の意見の相違や意思疎通がうまくできずに破談になるケースもあります。
共有名義のマンションを離婚で売却する場合
- 売却条件をあらかじめ決めておくこと
- 連絡を取れる状態にしておく
- 頼れる営業担当を探しておく
相続して共有名義になったマンションを売却する場合
- 相続人を確認しよう
- 不在者財産管理人制度もある
- 相続人間の足並みを揃えよう
それぞれ見ていきます。
1.共有名義のマンションを離婚で売却する場合
夫婦共有名義で購入したマンションを離婚時に売却する際の注意点の説明です。
離婚の理由は様々ですが、マンションを売却することだけは共に手を携えて乗り切りましょう。
1-1.売却条件をあらかじめ決めておくこと
まずは売却条件、具体的には最低売却価格を決めておきましょう。
売買する場合、少しでも高く売却したい場合と多少安くても早く売却したい場合があります。
離婚の場合はこの傾向がさらに顕著になるのです。
例えば奥さんは少しでも高く売りたいけれど、旦那さんは早く手を切りたいので安くても早く売りたい。
こんなケースが考えられます。
価格に対するコンセンサスができていないと、せっかく買主が見つかっても売却ができない場合もあるのです。
1-2.連絡を取れる状態にしておく
離婚の場合、夫婦はお互いに顔も見たくないし、話しもしたくない状態になっていることもあります。
こうなるとスムーズな売買は難しいものです。
気持ちはわかりますが、マンションの売買についてはお互い連絡を取れるようにしておきましょう。
連絡が取れないと不動産業者も困ってしまいます。
1-3.頼れる営業担当を探しておく
不動産業者の営業担当が優秀かどうかで物件が早く売れるかが決まります。
これは共有名義の不動産でも同じことです。
離婚という事情をよく理解し、夫婦間でうまく立ち回ることができる営業担当を探しましょう。
単独名義のマンションよりも確認や承諾に手間がかかる共有名義のマンションになれている営業担当がいるとベストです。
2.相続して共有名義になったマンションを売却する場合
相続が行なわれると共有名義になる場合があります。
相続の場合、利害が絡むと感情的になり、スムーズに売却が進まないこともあるものです。
売却が上手に進むための注意点を説明します。
2-1.相続人を確認しよう
相続の場合、まずは相続人が誰で何人いるかを確認しましょう。
相続人が兄弟のみのようなシンプルな場合は問題ないのですが、甥や姪まで登場するような複雑な場合もあります。
何年も相続登記をしていなかった不動産の相続登記は相続人が何人も出てきて手に負えません。
相続人の確認が共有名義の不動産を相続する際の第一歩なのです。
2-2.不在者財産管理人制度もある
相続人のひとりと連絡が取れないとそれだけで遺産分割協議が進まなくなってしまいます。
このような場合に備えて定めた制度が不在者財産管理人制度です。
この制度は文字通り、相続人が不在の場合、その人が管理すべき財産を代わって管理や処分をする代理人になります。
多くの場合、選任されるのは弁護士です。まだまだ利用事例は多くないものの、有効に活用したい制度になります。
2-3.相続人間の足並みを揃えよう
離婚の場合と同じく、その不動産の処分について関係者間のコンセンサスが取れていることが重要です。
処分に反対している相続人がいるとそれだけで話が進まなくなってしまいます。
利害や感情が絡む話なので簡単ではないものの、相続人間の足並みだけは揃えましょう。
共有名義のマンションを高く売却するための3つの鉄則
共有名義のマンションを売却する際の問題点は意思決定にあります。
進みたい方向が異なると自動車でも船でもうまく進むことができません。
ここでは共有名義のマンションを高く売却するための鉄則を3つ挙げてみました。
1.所有者間の調整が第一
相続や離婚の際にもありましたが、共有名義のマンションを売却する場合には所有者間の調整が大事です。
売却をすることの同意、売却の時期、価格など合意すべきことは多くあります。
売却のスタート時には足並みをそろえておくことが必要です。
中には売却活動中に心変わりして売却に反対する共有者もいるかもしれません。
こうした場合でも説得しないと売却自体が暗礁に乗り上げる可能性もあります。
2.リーダーを決めること
売却に際して共有者全員が不動産業者と毎回打ち合わせすることは現実的ではありません。
共有者が常に全員集合できるとは限らないからです。
この解決策として、リーダーを決めるというのがあります。
共有者は委任状を書くなりしてリーダーに売却を一任するのです。
不動産業者側も、リーダーが共有者から委任されていることが確認できるので便利になります。
3.共有名義のマンションの売却は難しくないと自覚すること
ネット情報や書籍を見ると共有名義のマンションを売却するのは難しい、といった論調が目立ちます。
確かにある一面では正しいのですが、共有名義のマンションは不動産市場ではいたって普通に流通しているのです。
共有名義のマンションだからといって値引きがされているわけでもありません。
難しいと萎縮せず、共有名義のマンションの売却は難しくないことを自覚しましょう。
共有名義のマンションを売却する際に必要な書類
共有名義のマンションだからといって特別な書類は必要ありません。
一般的な売買で売主が用意すべき書類とほぼ同じです。
通常の売買で用意すべき書類は以下のとおりです。
- 身分証明書(免許証など)
- 実印
- 印鑑証明書
- 住民票
- 登記識別情報通知、もしくは登記済権利書
- 固定資産税納税通知書(固定資産税評価証明書)
問題はこれらのうち身分証明書、印鑑証明書、住民票は共有者の分だけ必要なことです。
代理人がこれらの書類を代わりに取得することもできます。
ただ、委任状や本人確認の手続き等があるので少し手間がかかるだけです。
共有名義のマンションを売却する際にかかる費用・税金
必要とする費用や税金の総額は単独名義の場合と比べても大きく変わるところはありません。
ちなみに買主側が共有名義になる場合には登記費用が若干値上がります。主な費用と税金は以下のとおりです。
- 仲介手数料
- 契約書への印紙代
- 登記関係費用(登録免許税・司法書士報酬等)
- 不動産取得税
もし共有名義人間でこれらの費用や税金を分担することができれば、ひとりあたりの負担は少なくなります。
共有名義のマンションを売却した後の確定申告を行う手順
確定申告はサラリーマンにはなじみが薄く難しく感じるものです。
共有名義のマンションを売却した後も確定申告をする必要があります。
ここではその手順と注意点について解説します。
確定申告は共同ではできない
確定申告は3月15日までに行う必要があります。
この確定申告は共同で行うことはできません。これは共有名義のマンションを売却した場合も同じです。
売却の合意や作業は共同して行わなければならないものもありましたが、確定申告は異なります。
確定申告は単独で行う必要があるのです。
書類集めと申告
サラリーマンやアルバイトならば勤務先で源泉徴収票が交付されます。
自営業はもともと確定申告が必要です。
事業の売り上げや経費に関する書類をプールしています。
これらの書類をもとに給与所得や事業所得に関する所得を計算するのです。
これに共有名義のマンションを売却し利益が出た場合は譲渡所得としてその利益を計上します。
不動産の売却益は通常の収入に加算して申告を行うスタイルです。
3,000万円の特別控除の特例はひとりごとに3,000万円
ただし、居住用不動産で一定の要件に該当する場合は利益のうち3,000万円まで控除されます。
つまり利益3,000万円までは税金がかかりません。
さらにこの控除は共有名義人ひとりひとりに3,000万円控除の権利が与えられます。
仮に3人が等分で持っていたマンションで6,000万円の売却益がでたとしましょう。
ひとり当たりの利益2,000万円に3,000万円の控除が可能です。この例では売却益には税金がかからなくなります。
共有名義のマンション売却に関するQ&A
共有名義のマンション売却の質問をまとめました。
- 自分の持分のみ売却することはできる?
- 共有分分割請求って何?
- 共有名義のマンションが競売にかけられるとどうなる?
いずれも法律の話なのでしっかりと勉強しましょう。
1.自分の持分のみ売却することはできる?
自分の持分のみを売却することは可能です。ただし、特殊な事情がなければ購入者は現れません。
特殊な事情とは、購入者が共有名義人の家族や関係者の場合、または物件が収益用不動産の場合などです。
例えば夫婦で共有しているマンションに奥さんの持分をまったくの第三者が購入するというのは現実的ではありません。
もしこうしたケースでも持分は相当な安値で売買されます。
2.共有分分割請求って何?
これまで見てきたように、不動産を共有していると処分する際に必要なのは共有者全員の合意です。
合意を得るのが困難であったり、煩雑であったりする場合、その共有物を分割して分割部分を単独で所有したいと共有者は考えます。これが共有物分割請求です。
共有物分割請求は基本的には土地の場合請求可能です。
建物はその一部を単独所有することにはなじみません。
つまり、共有名義のマンションでは共有物分割請求はできないことになります。
3.共有名義のマンションが競売にかけられるとどうなる?
共有名義のマンションが競売にかけられるのはその持分が対象です。
落札者にとって持分をそのまま持っているのは得策ではありません。
土地であれば共有物分割請求がありますが、マンションでは利用できない制度です。
不動産業者などが持分を取得し、他の共有者に持分の買い取りを請求したり、逆に共有者の持分の購入を打診したりすることが考えられます。
まとめ
共有名義のマンションは世の中に数多く存在し、珍しいものではありません。
確かに共有名義のため書類が多くなることはあります。
ただ、共有者間の人間関係が良好ならば単独名義のマンションと同様に売買可能です。
たとえ関係が険悪になりつつあったとしても、マンション売却という共通目的は達成できるようにしたいものです。
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