親名義マンション売却の落とし穴~パターン別(贈与、相続、代理)注意点を紹介

相続の発生や住まなくなったことを理由として親名義のマンションを売却することがあります。

こうした親名義のマンションは自分名義のマンションとは異なる注意点やポイントがあるのです。

こうした注意を怠ると売却がスムーズにいかず、家族間でしこりやわだかまりが残ってしまうこともあります。

ここでは家族が「争族」とならないための注意点や売却時のステップについてまとめました。

しっかり勉強してスムーズに売却を進めましょう。

また、今から不動産の売却を考えている人に、一つ忠告しておきたいことがあります。

それは、「絶対に1社の不動産会社が提示した査定額を鵜呑みにして売却活動をスタートしてはいけない」ということです。

不動産の査定額は不動産会社によって算出方法が異なり、100~500万円程度金額に開きがあることが珍しくありません。

本来であれば5,000万円が適正価格の不動産であっても、「査定額は4,500万円です」といわれることはざらにあります。

4500万円の金額を鵜呑みに売却活動をすれば、本来売れるはずだった金額から大きく値を下げて売却することになり、数百万円の損を被ってしまいますよね。

そういった事態を避けるためにも、大切なことは「複数の不動産会社から相見積もりを取ること」。

1社だけでなく複数社の査定額を比較することで、

  • 「4500万円」
  • 「4700万円」
  • 「5200万円」
  • 「5400万円」
  • 「5050万円」

といった形で、適正な売却価格を客観的に把握することができます。

ただ、複数の不動産会社を1社ずつ回ったり、会社のHPから何度も査定フォームに入力するのは面倒なもの。

しかし、最近では「不動産一括査定サイト」と呼ばれるサービスが登場し、一度に複数の不動産会社にまとめて査定の依頼ができるようになりました。

不動産一括査定サイトは日本で50ほどの種類があるのですが、中でも信頼性が高いのが「HOME4U」です。

国や金融機関レベルの情報を扱う「NTTデータ」グループが運営しており、日本で初めての不動産一括査定サイトだと言われています。

事前の審査に通過した厳選された1,300社の中から、最大6社にまとめて査定の依頼ができるので、無理な営業電話を受ける心配もありません。

数百万円単位の損をしないためにも、これから不動産を売却する人は必ず利用することをおすすめします。

それではここから、親名義のマンション売却について詳しく解説をしていきましょう。

親名義のマンションを売却する際の5つのパターン

親名義のマンションを売却する場合、いくつかのパターンが考えられます。

今回は5つのパターンについて考えてみます。

それぞれ注意点や手続きが異なりますのでしっかりと押さえておきましょう。

  1. 相続
  2. 贈与
  3. 代理
  4. 認知症
  5. 成年後見人

順番に説明します。

1.相続

相続が発生すると、親名義では売買できなくなります。亡くなった人の名義では売買できないからです。

このため、相続登記を行い、相続人が所有者となったうえで売買をすることが必要になります。

相続がスムーズに進めば問題なく親から引き継いだマンションも売却可能です。

一方で相続人の間でトラブルが発生すると多大な時間と手間がかかってしまいます。

2.贈与

生前贈与などで親の財産を子に、少しずつ移していくことも以前から行なわれています。

親からの贈与でマンションを取得した場合は、名義変更を行えば通常の売買を行うことができます。

名義変更をせずに販売活動を行うことも可能ですが、遅くとも契約の段階までには子の名義にすることが必要です。

3.代理で売買

代理で売買する場合は親の委任状が必須です。

そもそも不動産業者と媒介契約を締結する場合でも委任状が必要になります。

不動産業者としても、本当に親が売買する意思があるのかを確認する必要があるからです。

委任状さえ取得すれば、所有者である場合と同じように売買活動を行うことができます。

4.認知症

親が認知症の場合、症状の程度によっては売却の意思を確認できない場合もあります。

比較的程度が軽い場合は、司法書士が直接親に売却の意思を確認します。

司法書士が立ち会い、子に対する委任状を作成することもあるのです。

意思が確認できないほどの重症の場合は後述する成年後見人制度を活用します。

5.成年後見人

成年後見人は認知症などで意思表示ができない人に成り代わって様々な法律行為を行う人です。

成年後見人がいればマンションの売却は、スムーズに行うことができるようになります。

成年後見人制度は、認知症が社会問題化した際に制定された制度です。

親が認知症の場合、子が成年後見人になる場合や弁護士、司法書士などの専門家が就任する場合があります。

家庭裁判所に申請して成年後見人として認められれば、活動を行うことが可能です。

親名義のマンション売却をする際の3つのステップ

親名義のマンションとはいえ、物件自体は通常のマンションと変わるところはありません。

異なるところは自分の所有物でないことと、推定相続人という利害関係者がいる点です。

実際に売却を依頼する前のステップについて3つに分けて解説します。

  1. 意思の確認
  2. 推定相続人対策
  3. 不動産業者

順番に見ていきましょう。

1.意思の確認が第一

まずは親の意思確認が最優先です。

もじ親名義のまま売買するのであれば、委任状を作成してもらいましょう。

委任状がないと本当にその人に代理権があるのか確認できず、スムーズな売買ができなくなります。

2.推定相続人対策

相続人がひとりしかいないならば問題は生じませんが、兄弟などの相続人になりうる人がいる場合は注意が必要になります。

推定相続人からすると、勝手に財産を処分してしまうようにも映るからです。

理想としては推定相続人からも売却に関して承諾をもらうことがよいでしょう。

3.不動産業者も厳選すべき

不動産業者も厳選しましょう。

親が元気で意思表示もしっかりできるならばあまり門団はありません。

ですが、認知症であったり、施設へ入所していたりすると、不動産業者も意思の確認や段取りなどの手間が増えてしまいます。

中にはこうした手間のかかる案件は敬遠する業者もいるものです。

媒介契約の段階でしっかり事情を説明し、それでも引き受けてくれる度量の広い業者を見つけましょう。

親名義のマンションを売却する際の3つの注意点

親名義のマンションを売却する場合には、物件のよしあしも重要ですが、何より人間関係が大切になります。

ひとつ間違えると相続が家族の争う「争族」になってしまうのです。

ここでは「争族」にならないための注意点を解説します。

  1. 「争族」のリスク
  2. 所有者とのコミュニケーション
  3. 弁護士や司法書士の関与

それぞれ解説します。

1.「争族」のリスクがあることに注意

相続が予想される中でマンションなどの資産を売却するのは、推定相続人間に波風が立つ恐れがあります。

たとえ親が納得していたとしても、推定相続人にわだかまりや不満が残る場合もあるのです。

相続は家族が争う「争族」になるリスクがあります。

親名義のマンションの処分は、こうしたリスクがあることを肝に銘じましょう。

2.所有者とのコミュニケーションが必須

所有者である親とのコミュニケーションが可能であれば、できるだけ取るべきです。

きちんとコミュニケーションをとることができれば、推定相続人との関係にも好影響をもたらします。

逆に不協和音がなるようだと、スムーズに売却をすすめることはできません。

当初は、売却に前向きでも途中で翻意してしまうこともあります。

もしそうなっても、話し合いができる人間関係は整えておきたいものです。

3.弁護士や司法書士のさらなる関与が必要な場合も

家族であっても、むしろ家族だからこそ、冷静に話し合いができない場合もあります。

このような場合には、第三者に取り持ってもらうことも一案です。

弁護士や司法書士は、成年後見人になることもできます。

専門的な知識を有することから、成年後見人でなくとも相談相手として最適です。

親名義のマンションを少しでも高く売却する3つのポイント

誰しもなるべく高くマンションを売りたいもの。

それは親名義のマンションであっても変わることはありません。

名義が誰かにかかわらず、マンションを高く売却できるポイントはあるのです。

買主は物件のよしあしを見て、所有者が誰であるかにはあまりこだわりません。

ここではマンションを少しでも高く売却するポイントを3つに絞って解説します。

  1. まずは相場を知ろう
  2. リフォームをするかの判断
  3. 不動産一括査定の活用

順番に見ていきます。

1.まずは相場を知ろう

いくら高く売ろうとしても、相場をはるかに超えて売却することは難しいものです。

ネットで検索すれば、そのマンションがどれくらいの金額で売られているのかがわかります。

まずはおよその水準でも構いません。価格水準の把握に努めましょう。

その後もう少し精度の高い価格をつかめばよいのです。

2.リフォームをするかの判断が必要

水回りが汚れていたり、壁に家具の跡が残っていたりすると、イメージは悪くなります。

リフォームをすればこれらの問題は解決するものの、リフォーム代を価格に転嫁できるかは不透明です。

そこでリフォームとまでいかずとも、クリーニングは最低限行いましょう。

プロが掃除をするだけで見栄えはかなり違ってきます。

費用もリフォームよりは抑えることが可能です。

3.不動産一括査定を活用する

不動産を少しでも高く売却する際の鉄則の一つが、「複数の会社から見積もりを取ること」です。

不動産を売却する際、多くの人は近所の不動産会社やCMなどの露出が多い大手不動産会社に査定を依頼することが多いです。

しかし、不動産の査定価格は不動産会社によって異なり、その金額差は100~500万円ほど開きがあることも珍しくありません。

本来4000万円で売れる可能性のある不動産であっても、「査定額は3600万円です。」と判断される可能性も十分あるため、1社だけの査定額を鵜呑みにすることは本当に危険なのです。

しかし、NTTデータが運営する「HOME4U」や、三井のリハウス、住友不動産販売などの大手6社が運営する「すまいValue」などを活用すれば、複数の不動産会社にまとめて査定の依頼をかけることができます。

<不動産一括査定の例>

A社 「3600万円です」

B社 「3800万円です」

C社 「4200万円です」

D社 「3950万円です」

E社 「4350万円です」

「3600万円+3800万円+4200万円+3950万円+4350万円÷5=3980万円

上記のように、複数の不動産会社からの査定額の平均値を取ることで、適正に近い価格を把握できるようになります。

A社(3600万円)の査定額だけを信用して売りに出していたら、数百万円は安売りしてしまうでしょう。

また、E社の査定額を鵜呑みにした場合であっても、相場より高く売りに出しすぎてしまい、長期間売れ残って結局値下げするのがオチです。

これから不動産会社を売却する人は、「HOME4U」や「すまいValue」などの一括査定サイトを活用して、売却を始めるようにしましょう。

築古で買い手がつかない場合は、不動産業者の買取を活用しましょう

築古のマンションはなかなか買い手がつかない場合もあります。こんな時は不動産業者の買取も検討しましょう。

ここでは買取のメリットとデメリットをまとめ、どのような物件や条件が買取におすすめかを解説します。

買取のメリットとは

不動産の買取のメリットは、

  • 短期間で売買ができる。
  • 相手が不動産業者なので瑕疵担保責任が免除される。
  • 近所に売買があったことを知られない。
  • 仲介手数料がかからない。

以上の点です。確実に売却ができ、それが短期間に秘密裏に行うことができるのがメリットになります。

売買に時間をかけたくない場合、物件が遠隔地にあって手間をかけられない場合には買取は有効な手段です。

買取のデメリット

一方で買取のデメリットは、

  • 仲介の場合よりも安くなってしまう。
  • リフォームなどの投下費用は考慮されない。

以上の点です。物件を買い取る業者はリフォームをして再販売することを計画しています。

このため、安く物件を購入しないと儲けが出ないのです。

このため、どうしても売却価格は安くなってしまいますし、これまでに行ったリフォームなども金額に考慮されないことがあります。

買取がおすすめの物件とは

買取がおすすめの物件は次のとおりです。

  • 早く売却したい物件
  • 手間をかけたくない物件
  • 築年数が経過している物件

買取は通常の売却よりもスピーディーに現金化できます。

このため時間や手間を惜しむ場合は買取がおすすめです。

また、築年数が経過している物件は売りづらいものですが、買取業者はリフォームを前提としているのでむしろ歓迎されるのです。

親名義のマンションを売却する際にかかる費用・税金・控除まとめ

必要とする費用や税金の総額は自分名義の場合と比べても大きく変わりません。

ただし、控除についてはやや複雑になります。まずは主な費用と税金は以下のとおりです。

  • 仲介手数料
  • 契約書への印紙代
  • 登記関係費用(登録免許税・司法書士報酬等)
  • 不動産取得税

相続をしてからその相続財産を売却する場合には、譲渡所得から3000万円を控除できる特例があり、その家が空き家の場合は一定の要件を満たすと適用可能です。

また、親と同居している子が相続を受けた場合には3000万円の控除が受けられる制度もあります。

親名義のマンションを売却した翌年の確定申告について

親名義のマンションを売却した場合でも確定申告は必要になります。

ただし、確定申告は親名義のまま売却した場合と、相続してから売却した場合で扱いが異なるのです。

どこが違うのかきちんと把握しましょう。ここでは2つのケースに分けて解説します。

親名義のまま売却した場合

親名義のまま売却した場合、親自身が確定申告することが必要です。

これは代理であっても、成年後見人の行為であっても同じです。

利益が出た場合は譲渡所得が発生する可能性があります。

また、3,000万円控除などの特典を受けることも可能です。

相続した後売却した場合

相続の手続きを行った後売却した場合でも確定申告が必要です。

相続の場合、購入したわけではないので取得費用はありません。

代わりに親が取得した金額が取得費の扱いとなり、長期譲渡所得の判定も親が取得した時点からのカウントになります。

空き家であった場合は控除が可能など様々な特典があるので税理士へ相談が必要です。

親名義のマンションを売却する際に必要な書類一覧

親名義のマンションでも特別な書類は必要ありません。

一般的な売買で売主が用意すべき書類と同様です。

いずれも重要な書類なので自宅で保管したり、役所で集められたりできるものになります。

通常の売買で用意すべき書類は以下のとおりです。

  • 身分証明書(免許証など)
  • 実印
  • 印鑑証明書
  • 住民票
  • 登記識別情報通知、もしくは登記済権利書
  • 固定資産税納税通知書(固定資産税評価証明書)

これらのうちで問題となるのは身分証明書、印鑑証明書、住民票は所有者である親のものが必要なことです。

委任状を作成した役所で手続きをすれば入手できます。

少し手間がかかるのは委任状作成や本人確認の手続きがあるからなのです。

<補足>親名義のマンションを賃貸に出すことはできる?

これまでは売却について解説してきましたが、ここでは賃貸について考えてみます。

結論から先にお話しすると、親名義のマンションを賃貸に出すことは十分可能です。

マンションを処分しないため、推定相続人も説得しやすくもなります。

賃貸の注意点は自分たちで利用できなくなること、相続が発生した場合は賃借人にも所有者の変更を通知する必要があることです。

もし諸事情により売却が困難であれば、賃貸を検討すべきです。

まとめ

親名義のマンションの売却は自分の所有物でないこと、推定相続人が存在することから通常の売買よりも手間がかかることがわかりました。

他人名義のマンションを売却するには、所有者本人とその利害関係者とのコミュニケーションが何より大切です。

所有者と利害関係者の足並みがそろえば売却はそれほど難しくありません。時間や手間をかけられなくても買取の選択肢もあります。「争族」とならないようしっかりコミュニケーションをとって売却を目指しましょう。

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