<記事の情報は、2022年5月1日時点のものです>
中古住宅の広告で「スムストック」という言葉を目にしたことはありませんか?
スムストックに認定された住宅は、メンテナンスがしっかりと行われているため、中古住宅であっても安心して住み続けることができると評価されているのです。
はたしてスムストックとはどんなものなのか、詳しく探っていきましょう。
また、本文に入る前に、あなたに一つ質問です。
「注文住宅を建てる際に最も重要なことは何だと思いますか?」
資金計画や土地探し、理想の間取りやデザインなどを決めるなどを思い浮かべる人も多いと思います。
結論として、もっとも注文住宅を建てる上で大切なのは「住宅メーカー選び」です。
「住宅メーカー選び」ですべてが決まってしまうと言っても過言ではありません。
住宅メーカーの数が多すぎるがゆえに、深く考えずにCMなどで聞いたことのある大手に決めてしまったり、たまたま足を運んだ住宅展示場で見つけた会社に依頼してしまう人も多いのが現状。
そうなると、最終的に理想の家が完成せず、多くのお金を損してしまう結果になってしまうのです。
全国には、いわゆる「ハウスメーカー」だけでなく、比較的低価格で依頼できる「工務店」、デザイン性や間取りの柔軟性が高い「設計事務所」など様々です。
十分に比較検討せず依頼する会社を決めてしまうと、「もっと安くてもっと条件にあう会社があったのに・・・」と、一生後悔することになりかねません。
「そんなことを言っても、無数にある住宅メーカーの中からピックアップして比較していくなんて不可能だよ・・・」
と感じる人もいるでしょう。
そういった人にぜひ活用して欲しいのが、東証一部上場企業の「LIFULL」と、同じく東証一部上場企業のリクルートが運営する「SUUMO」のカタログ一括請求サービスです。
これらカタログ一括請求サービスのすごいところは、あなたが家を建てる予定のエリアとこだわりの条件を選択するだけで、条件にあった住宅メーカーを自動でピックアップしてくれることです。
HOME'Sではハウスメーカーのカタログを中心に、SUUMOでは工務店のカタログを中心に集めることが可能。
自分で条件にあった会社を調べる必要がなく、どちらも完全に無料で利用できるので、簡単に比較検討すべき会社を見つけられます。
また、カタログを請求する時のポイントは、「有名・無名などで選り好みせず、ひとまず条件にマッチした会社のカタログは取り寄せてみる」ことです。
まったく聞いたことの無かった会社の中に、求めていた条件とぴったり一致する会社があったという人も珍しくありません。
条件に合った会社を0からピックアップする手間は無くして、取り寄せた会社の中からあなたの理想にマッチした会社をしっかり比較検討することで、後悔しないマイホームづくりが実現できますよ。
マイホームは一生に一度の大きな買い物。損をしてしまうことがないよう、面倒くさがらずに必ずカタログ集めから始めてくださいね!
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それではここから、本文に入っていきます。
スムストックとは何か
スムストックとは、一般社団法人 優良ストック住宅推進協議会が提唱する、中古住宅の流通システムです。
この協議会には、大手住宅メーカー10社が参画しています。
スムストックによる査定対象となるのは、「住宅履歴の管理蓄積がある」「50年以上の長期点検プログラムがある」「新耐震基準レベルの耐震性能がある」とういう、この3条件を満たした住宅のみとされています。
スムストックに認定された建物は、独自の手法により資産価値を評価されるために一般の住宅と比べて高い評価額になります。
どんな住宅メーカーが参画しているの?
スムストックに参画しているのは次の大手住宅メーカーです。
旭化成ホームズ
住友林業
積水化学工業
積水ハウス
大和ハウス工業
トヨタホーム
パナホーム
ミサワホーム
三井ホーム
ヤマダ・エスバイエルホーム
スムストックが発足した背景
中古住宅の査定で信頼を得ているスムストックですが、なぜこの制度が発足したのか、その背景を探っていきましょう。
そこには日本特有の中古住宅市場の事情があります。
日本の住宅の平均寿命は30年
百年、二百年と続く欧米の住宅とは異なり、日本の住宅の平均寿命は30年とされています。
なぜそうした違いがでるのか、その理由のひとつとして、石造が中心の欧米と木造が中心の日本という建築構造的上の違いが挙げられます。
しかし、それにしても木造だから30年というのはあまりに短すぎるという印象は拭い去れません。
もうひとつの理由は、日本特有の「新築神話」です。
この国では、住宅に限らずあらゆる物品において、新しい物の方が格上になる傾向があります。
古いものを長く使用していると「貧乏くさい」と蔑まれることすらあるのです。
さらに理由があります。
これこそ今回のテーマに沿ったものになるのですが、中古住宅への不信感です。
中古住宅を購入してみたものの、隠れた欠陥があり補修に大金を費やしたという声をあちこちで耳にします。
つまりせっかく中古住宅を安く買ったのに、修理費で大金を費やしたために、結局新築と大差がなかったということがあり得るのです。
こうした背景もあって、中古住宅がなかなか流通せず、結果として住宅の寿命を縮めてしまうことなったのです。
中古住宅は構造さえしっかりしていれば持続可能
中古住宅の購入で危険なのは、見た目が美しければ建物全体が丈夫だと錯覚をしてしまう人が多いということです。
このため中古住宅の下取りをした不動産会社は、ともかく外壁や内装の美装に腐心します。
しかし住宅にとって最も重要なのは耐震性能であり、その耐震性能を維持するために水漏れを防いで構造材を腐食させないということです。
しかし、その耐震性能を客観視できる指標がないために、不動産会社は外観重視の営業を行い、その結果として中古住宅の不振につながるといった悪循環に陥ったのです。
中古住宅市場を改革する国の制度が始まる
こうした中古住宅市場のマイナスイメージを払しょくさせるために発足したのが、国土交通省が手証する「安心R住宅」制度です。
安心R住宅とは、新耐震基準に適合する性能を持ち合わせたうえで、リフォームが実施されており、点検記録の情報提供が行われている住宅のことです。
この安心R住宅が市場に流通して、消費者の信頼を得ることができれば、中古住宅市場を活性化できると考察したのです。
そこで国土交通省は、安心R住宅を推進する登録事業者を募ることにしました。
現在8団体が登録されていますが、最初に登録されたのがスムストックを運営する一般社団法人 優良ストック住宅推進協議会です。
どんな住宅がスムストックの対象になるの?
詳しくは後述をしますが、スムストックに認定された住宅は、販売価格の査定でも有利な扱いをされます。
ただしスムストックに認定されるためには、いろいろと厳しい条件が課せられます。
どのような要件を備えていないといけないのかみていきましょう。
1.新耐震基準に適合している
建物を維持していくためには、1981年に改正された新耐震基準に適合していることは、基本中の基本といってもいいでしょう。
スムストックでも当然のことながら新耐震基準への適合が求められます。
2.住宅のメンテナンス履歴が分かる
病院のカルテのような履歴書が住宅にも必要になります。これまでにどのような修繕をしたのか、あるいは維持管理をしたのかといったことがきちんと記録されていることが前提になります。
こうした情報が蓄積されていることで、メンテナンスの計画を立てることが容易となり、さらなる延命に通じることになるのです。
3.五十年周期のメンテナンス
建物を長期間持続させるために、50年先を見据えた長期プログラムに沿った維持管理をしていく必要があります。
大手住宅メーカー10社以外の住宅にはハードルが高い
スムストックは参画10社以外の住宅であっても認定されるとしていますが、メンテナンスの履歴がなかったり、50年周期のプログラムによって維持されていなかったりするために、結果として10社以外の認定はほとんどないのが実情です。
スムストックはどのように運営されているの?
厳しい基準により認定されるスムストックですが、実際の中古市場においてうまく運営されないことには意味がありません。
実際にどのように運営をされているのかをみていきましょう。
住宅販売士が認定
スムストックでは、住宅販売士の資格者が、スムストックの認定と販売を行います。
住宅販売士は基本的には住宅メーカー系の不動産会社に在籍をしています。
このため自社製品について熟知しているのはもちろんのこと販売のノウハウも持ち合わせているので、認定から売却の流れがスムーズに進みます。
独自の方式で査定
一般の住宅の査定においては、建物全体を一括で査定するため、耐用年数の20年~22年を過ぎた木造住宅はゼロ査定となります。
スムストックでは、構造部と内装・設備部に分けてそれぞれを査定するのが大きな特徴です。
構造部は建物全体の6割を占めると想定して、償却期間を50年で査定します。
残りの4割は内装・設備部ですが、この償却年数を15年とします。
さらにこれまでメンテナンスを行った実績やリフォーム工事を行った部位についても適正な評価が行われます。
土地と建物を分けて価格表示をする
一般的な中古住宅販売では、土地と建物を一体として価格表示をするため、それぞれの適正な価格は、いわばブラックボックスに入っているような状態でした。
スムストックでは、土地の価格と建物の価格をそれぞれ分けて表示するため、住宅の真の価値が明らかになります。
スムストックのメリットは?
中古住宅を購入する場合において、スムストック認定の住宅を選択するとどんなメリットがあるのでしょうか。
建物の基本的な問題で悩まなくてよい
一般の中古住宅においては、現状をスケッチした簡易な間取り図があるだけで、平面図や立面図といった基本的な図面すら存在しないこともあります。
また建築確認申請書や検査済証も存在しないばかりか、はたして完了検査を受けたのかさえも覚束ないことすらあります。
スムストックでは、それらの資料が全て備わっているのが基本です。
このため建物の適法性について悩む必要はありません。
建物の修繕履歴が分かる
スムストックの住宅は、これまで手を加えたメンテナンスやリフォームの履歴がすべて残っています。
このため購入後のメンテナンス計画が立てやすくなります。
建物の価格が明確
建物の価格が明確に表示されているので、適切な価値が認識できます。
各住宅メーカーの保証制度を引き継げる
一般の中古住宅では、新築時の保証やリフォームした部位の保証は、工事発注者に付帯するものですが、スムストックでは、そのまま保証や点検制度が引き継がれます。
安心な中古住宅はスムストックしかないの?
スムストック認定の住宅は、厳しい認定基準によってその品質が保証されています。
しかしその一方で、その厳しい基準ゆえに、対象となる住宅は、一般社団法人 優良ストック住宅推進協議会に参画している大手住宅メーカー10社が建築した住宅にほぼ限定されてしまいます。
しかし現実には、さまざまな会社が施工した中古住宅が広く出回っています。
こうした中古住宅の客観的評価を得るにはどうすればいいのでしょうか。
そのひとつの打開策を紹介します。
ホームインスペクションでしっかりチェック
第三者による住宅の適正な診断をしてもらうためには、インスペクター(住宅診断士)に依頼するという方法があります。
購入しようとする中古住宅をしっかりとチェックしてもらうことで、家を買ってもいいかという判断ばかりでなく、今後どんな点に注意をしてメンテナンスをするべきかという計画を購入前に立てることができます。
インスペクターは、売主との利害関係がまったくないので、第三者的視点からのアドバイスが得られます。
ホームインスペクションにかかる費用は?
ホームインスペクションを取り扱っている会社は各社ありますが、費用は125平方メートル以下の一戸建ての住宅であれば6万円が相場です。
ホームインスペクションが拒否される場合もある
ホームインスペクションはすべての中古住宅で実施できるわけではありません。
売主や仲介業者によっては拒否されることもあります。
この場合は、なんらかの問題が内在していると考えるのが妥当であり、購入は慎重な姿勢で臨んだ方がいいいでしょう。
ホームインスペクション済みの住宅もある
最近ではホームインスペクションが広まってきたために、販売促進の一環として「ホームインスペクション済み」として売りに出されている物件もあります。
費用をかけずに診断結果がチェックできるというメリットがありますが、書面だけでは自分の知りたいポイントが判断できないこともあります。
また直接アドバイスをもらえることもできません。
こうしたデメリットを鑑みると、たとえホームインスペクション済みの住宅であっても、改めて自分でホームインスペクションを依頼する方が望ましいといえます。
まとめ
ここまでスムストックとは何かについて説明をしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
スムストックは大手住宅メーカーが構築したシステムだけあって非常に信頼のできる制度だといえます。
その一方で、対象が事実上大手メーカー10社の住宅に限定されるので、必ずしも自分の求める住宅が、スムストックの対象になるとは限らないという現実的な課題があります。
中古住宅には未知数の部分が数多くあります。
将来まで安心して住み続けるためにも、スムストック以外の中古住宅が購入対象になった際には、ぜひホームインスペクションの活用をご検討ください。
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