中古物件を購入するときに行うホームインスペクション制度と費用とについて

ホームインスペクションとは、住宅診断のことです。

中古の物件を取引する際に、建物の状況を確認し、瑕疵(かし)と呼ばれる欠陥がないかを確認する作業のことを指します。

国内では、まだまだ馴染みがないホームインスペクションですが、実は海外では当たり前のように普及しているサービスです。

アメリカでは、中古物件の売買が多く、できるだけ長く大切に家に住むという考え方が浸透しているため、ホームインスペクションの実施が欠かせません。

そこで今回は、中古物件を購入するときに行うホームインスペクション制度と費用について紹介します。

これから、中古物件の購入を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

ホームインスペクションとは

近年、中古物件を購入し、リフォームやリノベーションをして住み始める人が増えてきています。

しかし、中古物件は売主でも気づいていない欠陥が隠れていることが多く、購入してから「失敗した」と感じる買主も少なくありません。

このような事態を打破するべく、国内では平成25年6月にホームインスペクションのガイドラインが国土交通省から発表となりました。

国土交通省では、中古物件の維持管理や劣化状況なども、売買時に重視すべき事項だとしています。

また、平成29年からは宅地建物取引業者が中古物件を取引する際に、ホームインスペクションの説明が義務付けられるようになりました。

そのため、今後は中古物件の取引は慎重に行う流れになっていくでしょう。

ところで、このホームインスペクションですが、借主や売主にはどのような負担がかかってくるのでしょうか。

そこで、インスペクションで何がわかるのか、費用はどれくらいかかるのかなど、インスペクションの基本的なことについて紹介していきます。

ホームインスペクションで何を見るのか

まずは、ホームインスペクションでどんなことがわかるのかについて知っていきましょう。

中古物件のリスクを軽減させるために、建物の劣化状況を確認し、どのくらいの修繕費用が必要になるのかを知ることが住宅診断の目的です。

主に以下の部分を目視や計測で確認していきます。

・建物の基礎部分
・外壁
・柱や梁
・土台や傾き
・床板
・開口部
・排水管
・屋根
・バルコニー

このように、インスペクションで確認されるのは建物の主要な部分です。

この部分を確認することで、雨漏りや家の傾き、シロアリ被害がないかどうかがわかります。

ちなみに、インスペクションはあくまで「診断のみ」となるため、その後に修繕が必要であれば、買主または売主が補修を依頼します。

この診断により、「家を買ったけど欠陥があったどうしてくれるんだ!」というトラブルを軽減させることが可能です。

ホームインスペクションは誰が行うのか

ホームインスペクションを行うのは、専門の業者です。

建築士や住宅診断士などにインスペクションを依頼するのが一般的です。

日本建築士会連合によると、インスペクションを行う建築士は技術者講習を受けることが必要とされています。

そのため、インスペクションを依頼する場合には建築士の中でも技術講習を受講した人を選んでいきましょう。

建物を仲介した不動産会社が行うと勘違いされやすいのですが、住宅診断士という資格試験に合格した人が行います。

有資格者は住宅診断士やホームインスペクターとも呼ばれ、メンテナンス劣化の判断に関することを学んだ人がインスペクションを行います。

ホームインスペクション業者はたくさんあるため、業者を選ぶときは「資格があるか」「インスペクション経験があるか」を重視していきましょう。

価格の安さだけに着目すると、建物の正確な判断ができない恐れがあります。

価格の安さを優先したい場合は、業者の経験や資格状況を確認していきましょう。

ホームインスペクション申込の流れ

このような住宅診断はどのように申し込めばいいのでしょうか。

後述しますが、中古物件を売買する際に仲介を依頼した不動産会社から「住宅診断を依頼しますか?」を専門業者へのあっせんするのかどうかを聞かれます。

ここで住宅診断を依頼すると決断した場合、以下の流れでインスペクションが進みます。

・インスペクション業者へ依頼
・診断の見積もりと予約をとる
・業者が現地へ行きインスペクションを実施する
・数日後に調査結果が送られてくる
・インスペクション料金を支払う
・内容に納得ができたら契約へ

このような流れとなります。

インスペクション実施日には依頼者も立ち合う場合もあるため、何か疑問点があれば遠慮なく質問しましょう。

検査時間は約3~4時間程度かかるため、スケジュールを調整しておくと便利です。

ホームインスペクション費用は誰が負担するのか

ホームインスペクションの調査費用はおおよそ5~10万円になります。

支払うタイミングは住宅購入前です。

ホームインスペクションは契約前に行うのが一般的な理由は、契約後に診断をして欠陥が見つかっても、後の祭りとなってしまうからです。

このホームインスペクションを行うのは、売買を仲介した不動産会社ではなく、有資格者により行われます。

この費用は「買主が負担しなければいけない」というような規則はなく、誰が負担しても構いません。

ただし、買主がインスペクションを行った方が得をする場合があります。

その理由は、売買価格にホームインスペクションを含めた価格交渉ができるという点、そして自分が選んだ業者であれば安心感があるからです。

売主にホームインスペクションをお任せしてしまうと、極端な話、格安の手抜き業者を選ばれてしまうという不安が残ります。

また、ホームインスペクション代を売値に含まれてしまう可能性も否定できません。

以上のことから、ホームインスペクション費用は、これから中古の家に住むことになる買主が行った方が得な場合もあります。

あえて費用を負担し、上手に値引き交渉をしていくのもひとつの売買戦略です。

罰則はなく不安定な制度でもある

先述したように、ホームインスペクションは国内ではまだまだ浸透しはじめた制度です。

一般消費者である買主や売主がホームインスペクションを行わないことでの罰則も特に規定されていません。

また、海外ではホームインスペクションの制度について問題視されている部分もあります。

不動産業者とインスペクション業者が共同で調査書を偽造し、問題ある物件を販売していたという報告もありました。

国内のインスペクション制度はまだまだ始まったばかりです。

海外で起こっている問題から、ホームインスペクションの結果を過信せず、契約後も欠陥がないかどうか自分たちでチェックしてみることを忘れないように心がけましょう。

ホームインスペクションはどのように義務化されているのか

ここまで、ホームインスペクションの費用と制度について紹介してきました。

続いて、ホームインスペクションが不動産取引において、どのように義務化されているのかについてみていきましょう。

ホームインスペクションを実施しないことで特に厳しい罰則はないと紹介してきました。

そのため、診断すべきタイミングを知っておかないと、知らぬ間に住宅診断する機会を見失ってしまう可能性があります。

不動産取引のどのようなタイミングでホームインスペクションの案内が行われるのか、正しく理解しておく必要があります。

そこで、不動産取引の中でホームインスペクションの案内や提案がどのように行われるのかを紹介しますので、参考にしてみてください。

媒介契約時にあっせんの希望を聞かれる

媒介契約とは、不動産会社に売買の仲介を依頼することです。

不動産会社に「家がほしいので希望にあった物件と売主を探してください」と契約を交わすのが媒介契約になります。

この媒介契約時に、不動産会社では「業者へインスペクションを依頼しますか?」とあっせん可否を契約者に確認することが義務付けられました。

ここで、インスペクション業者へ依頼するかどうか検討することができます。

ここで注意したいことは、不動産会社が自動的にインスペクション業者へ発注依頼するわけではないという点です。

不動産会社はホームインスペクション概要を説明し、業者への紹介をするかしないかを確認し、もし希望する場合は専門家を紹介することになります。

そのため、住宅診断を希望する場合には、業者の仲介を依頼するか、自分で業者を探し診断を申込む必要があるので注意しましょう。

契約前に実施状況の概要

続いて、重要事項説明の際にインスペクション状況に関する説明がなされます。

重要事項の説明とは不動産売買契約前に「このような取引で契約を進めますがいいですか?」という物件の概要や登記などの状況確認です。

この重要事項説明の際に、インスペクションを実施したか、検査結果はどうだったか、建物保全状況を記載している書類は誰が保管しているかなどを不動産会社から説明される流れになります。

ここでインスペクション状況に納得がいけば、本契約に進んでいきましょう。

万が一、インスペクション結果に不満がある場合は、この重要事項説明の際に契約を白紙に戻すことが可能です。

本契約に進んでしまうと、簡単に契約を解除することが難しくなります。

ここでインスペクション結果をしっかり確認し、このまま契約へ進めるかどうか検討することが大切です。

本契約で買主と売主がインスペクション状況を確認する

本契約では、建物診断状況の結果を買主と売主の両当事者が確認することになります。

建物の基礎部分や外壁にひび割れがないか、雨漏りはするか、傾きはあるのかなど、中古物件の診断結果をお互いに確認します。

このインスペクション結果は契約書に記載されますので、今後リフォームする際の参考にしていきましょう。

インスペクションで欠陥が見つかった場合の対処法

ここまで、インスペクションの概要と契約時の業者の義務について紹介してきました。

もし、契約を進めていくうえで物件に欠陥が見つかった場合には、どのような対策を取っていけばいいのでしょうか。

原則として、住宅に欠陥が見つかった場合には、売主は責任を負います。

これを瑕疵担保責任と言い、法律で以下のように定められています。

民法第566条

買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。

引用 債権|wikibooks

ここで、注意したいことは「買主がこれを知らず」という点です。

つまり、売主が家に欠陥があるのにも関わらず黙っていた場合、もしくは目に見えない欠陥があった場合には、買主は売買契約を解除したり売主へ損害賠償請求したりする権利があります。

しかし、買主が契約前に欠陥部分があるということを認めた場合には、「買主がこれを知らず」には該当しないため、解除や損害賠償請求はできません。

例えば、スーパーで見切り品があった場合、納得して購入したのに「状態が悪いから弁償しろ」というのはおかしいですよね。

ただし、住宅の欠陥は確認したが、確認した以外の欠陥が出てきた場合は少し違います。

損害状況にもよりますが、欠陥が酷かった場合には売主へ契約解除や損害賠償請求が可能になる場合もあります。

このように、欠陥が見つかった場合、見つかった経緯と損傷している個所によりその後の対処法が異なります。

何か異常を感じたら、すぐに業者に損害を確認してもらいましょう。

まとめ

中古物件を購入するときに行うホームインスペクション制度とは、不動産売買のトラブルを軽減させるための制度です。

費用は約5~10万円ほど必要になりますが、今後のトラブル防止のためを考えると高くはない金額と言えます。

インスペクションを誰の負担で実施するのかは自由ですが、海外では業者の不正行為の被害が報告されています。

そのため、できれば買主が自分で専門家を選ぶことをおすすめします。

中古物件は、新築に比べ格安で購入できる魅力的な建物です。

安心して長く住み続けられるよう、契約前にインスペクションをしっかり行っていきましょう。

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